プログラムの目的

北陸地区では、技術者、研究支援者の人材不足が定常化しています。開発技術者不足の理由の一つは、大卒10年すると学んだことと実際の業務のギャップが大きくなるためです。実際には、技術進歩によって開発にかかる時間も短くなど、技術的に容易になった部分もあるのですが、未就業の一般の方が、こうした新技術を学ぶ機会はほぼありません。

この課題意識のもと、本プログラムでは、北陸地域の意欲のある方に、研究設備による大規模データ取得・管理・活用技術を学ぶ機会を提供し、現在埋もれている優秀な人材を掘り起こすプログラムを企図しました。

また一方で、研究開発人材の不足は、正規雇用の技術者への負荷も高めています。IT技術だけでなく、通常のデータ取得方法も理解している人材が増えれば、格段に研究開発の速度が高まり、負荷も減ると考えられます。

こうした、大規模データの取得・管理・活用することが世界ではあたりまえになっているバイオ産業では、COVID 19診断、ワクチン開発が圧倒的なスピードで進みましたが、残念ながら我が国では、輸入品に頼る結果となりました。今後の成長分野である、グリーンイノベーションでも大規模データ取得・管理・活用は、技術的差別化だけでなく、ブランド化の根拠ともなるため、それができる人材に対するニーズはさらに高まると予想されます。

すでに企業でお勤めの方は、本プログラム修了後にさらに活躍されるように、求職中の方は、次世代研究支援者として活躍されることを想定しています。

プログラムの実施概要

実施期間:2023年10月~2022年12月(3ヵ月間)
金沢大学から修了証授与
  • オンデマンド講義+小テスト(週に1回~2回、1回120分)
  • 現地実習(10月以降 週に1回弱、1回180分)とその事前学習(オンデマンド講義)
10月[導入期]
[データ取得・管理・活用のリテラシー]
  • IT リテラシー・IT倫理
  • 研究室倫理
  • 安全教育
  • 計測基礎1 (小さいものを見る)
  • 計測基礎2 (小さい質量を計る)
  • 情報検索 
  • 設備共同利用 オープンファシリティ

  • オンデマンド+小テスト:60分×10回 事前試験に合格した方は履修免除
    (水曜日 18~20時に サテライトキャンパスにて 対面質問も可能)
  • フル受講者に個別面談(水曜予定)
11月 [実習期]
[装置群を用いた実習]
  • ゲノミクス計測によるデータ取得・管理・解析  
  • 質量分析によるプロテオミクス 
  • 質量分析による材料分析・解析 
  • 画像解析 (原子間力顕微鏡) 
  • 画像解析 (電子顕微鏡) 

原則 各科目/1週間 (ゲノミクスは2週間)
オンデマンド講義+小テスト120分 (火曜配信予定)  
実習180分 (土曜午後)

12月[出口期]
[地域連携科目]
  • 自動計測・解析
  • 地域企業における研究開発支援
  • 公的機関における研究開発支援
  • 技術支援のチームワーク
  • 製品安全

オンデマンド:60分×10回
見学実習 120分×3回 
実習 180分×1回 
対面セミナー 120分×1回

オンデマンド講義は、火曜日までに配信します。水曜日の午後6時から午後8時すぎまで 金沢大学サテライトキャンパスにて、対面で質問等のメンタリングの機会を持ちます。これは、受講生間の交流の場も兼ねています。(実際のカリキュラムは、一部変更となる場合があります。)
実習は金沢大学(一部は富山県立大学)で実施します。出口部では、地域企業、研究機関への見学を行い、プログラム修了後の企業への橋渡しとしています。またプログラム終了後のフォローも予定しています。

プログラムのフル受講対象者 (受講者選考があります)

地域企業や研究機関所属の方※ 1機関あたり1~2名(定員20名程度)
  • 分野、年齢や性別については限定せず、大規模データ取得・管理・活用を積極的に行いたい方を想定します。
  • 現在の正規、非正規雇用、職階を問いませんが、
    将来は職場で研究設備から得られる大規模データを用いたDX化を牽引できる人材。

  • 研究支援人材を目指す求職者の方(定員10名程度)
    • 職歴、出身学部等を問いませんが、高等学校の理科の知識は自学、自修を求めます。(水曜のサテライトキャンパスで、質問を随時受け付けます。)
    • 実習期、出口期では、修了後の分野や勤務地を意識した学修に取り組める方。

    プログラムの部分受講対象者 (先着順)

    地域企業や研究機関所属の方、求職中の方(定員300名程度) オンデマンド受講のみです。

    運営体制

    • 本プログラムでは、北陸3県の経済団体である 「北陸経済連合会」 とも連携し、「次世代技術支援」人材の育成を図ります。
    • 金沢大学の教員、技術職員の他、北陸地区の大学、公設試、地域企業等から外部講師を起用します。
    • プログラム期間中の水曜日(18〜20時すぎ)は金沢大学サテライトキャンパスにプログラムマネージャーとメンターが滞在し、受講者の相談を受けます。

    担当講師

    Lecturers

    長谷川 浩 はせがわ ひろし
    金沢大学理工学域物質化学系 教授 学長補佐・博士(理学)

    担当
    総括 事業実施委員長

    略歴
    愛知県出身。京都大学大学院博士前期課程修了後、高知大学、京都大学を経て、2011年から現職。
    専門は分析化学、環境化学、水圏化学。現在、研究基盤統括本部長、総合技術部長、理工研究域副域長、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー長、物質情報解析支援センター長を担当。

    紺野 宏記 こんの ひろき
    金沢大学ナノ生命科学研究所 准教授 博士(理学)

    担当
    高速原子間力顕微鏡によるデータ取得・解析

    略歴
    岩手県出身。東京工業大学大学院博士後期課程修了後、ポスドク、東京工業大学助教、金沢大学バイオAFMセンター准教授を経て、2017年から現職。専門は生体試料の1分子構造動態計測。

    杉山 博則 すぎやま ひろのり
    金沢大学 総合技術部 技術専門職員 博士(理学)

    担当
    表面観察・元素分析・遠隔操作
    (電子顕微鏡+エネルギー分散X線分析)

    略歴
    静岡県出身。富山大学大学院博士前期課程修了後、静岡県内の高等学校で2年間勤務。担当科目は理科。2007年から金沢大学の技術職員として化学工学系の学生実験や走査電子顕微鏡等大型研究設備の維持・管理・運用を多数担当。在職中の2013年に富山大学大学院で博士(理学)を取得。

    長井 圭治 ながい けいじ
    金沢大学 先端科学・社会共創推進機構 特任准教授
    博士(理学)

    担当
    計測基礎
    (小さなものを観る・小さい質量を測る)
    プログラムコーディネータ

    略歴
    東京都出身。早稲田大学大学院博士後期課程修了後、ポスドク、大阪大学助手、東京工業大学准教授を経て、2021年から金沢大学研究基盤統括本部にて、リサーチ・アドミニストレータ(URA)として大学研究設備の共同利用推進を担当。